認知症の考え方
- 佐々木 茂
- 7月10日
- 読了時間: 6分
認知症は、食事、生活習慣、仕事、生き方など、数十年かけて蓄積されたものなので、人によって原因やきっかけが異なります。
そのため、一人ひとりの状態に合わせた多角的なアプローチが必要です。
推奨される生活習慣
認知症改善には、まず「心身を知る評価」が最も重要であり、その上で個別の治療を行う必要があります。
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脳の活性化と精神的健康
認知症発症・悪化の起因の一つに「体験不足」が挙げられます。
できる限りのことを体験し尽くし、成功や失敗、悔しさ、喜びなどの「喜怒哀楽」を感じ表現することが「心を練る」ことにつながります。
脳は外界からの光や音、筋肉や皮膚、内臓からの刺激がないと動き出しません。
そのため、「食欲が減る」「体を動かさない」「人との交流を嫌がる」といった状態は脳機能の低下につながります。
認知機能低下の主な原因である集中力低下を改善するためには、脳の前頭前野や言語野を刺激する問題集(卓上療法)を毎日少しずつ継続することが推奨されます。
「約束を守るトレーニング」を通じて、「自分勝手」な生き方から「約束厳守」のバランスの取れた生き方を目指すことが、心の改善につながります。
これは、他者のために約束を守る意識を養うことにもつながります。
認知症の人への接し方として、「見る」「話す」「触れる」という心理的アプローチが重要です。
具体的には、平等を示す「水平な高さで見る」、正直さを示す「正面から見る」、優しさを示す「顔を近づける」、友情や愛情を示す「見つめる時間を長くする」ことが挙げられます。
また、相手に話しかけることでその存在を承認し、安心感を与えるために上腕部や背中に触れる「手当て」も有効です。
ストレスは扁桃体の過活動を引き起こし、拒否行動につながることがあります。
ストレスを感じる場所や人、出来事から離れることや、涼しい空間へ移動して頭を冷やすことが、扁桃体の活動を落ち着かせるのに役立ちます。
十分な水分摂取
認知症改善には十分な水分摂取が必須です。
体内の水分が適量あることで、脳の電気活動、臓器の活動、筋繊維の収縮・伸長がスムーズになります。
推奨される水分摂取量は、体重×30ml/日を目安とします(食事からの水分は除く)。
水を飲む習慣をつけるには、「少しずつ飲む」ことが効果的です。
また、腎臓を活性化させることや、運動直後に水を提供することも推奨されます。
十分な水分は血流を良くし、血圧を無理に上げなくても血液が全身を巡る助けになります。
適度な運動と身体活動
継続的な運動は硬くなった血管の機能を改善し、血圧コントロールを助けます。
週3回以上、30分以上の、少し息が上がる程度の運動が推奨されます。
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特に認知症高齢者では、筋力低下や自律神経の乱れにより肺に関連する筋力の低下やリズムの良い呼吸が困難になるため、運動による肺機能の改善が重要です。
拒否行動がみられる人には、肺や横隔膜の動きを大きくするために、興奮していない時にゆっくりとした深呼吸を1分間、1日3回以上行うことや、鎖骨下中央部のツボ押しが推奨されます。
僧帽筋の硬さを和らげるために、**両腕のぶん回し運動(前後各10回を1日3セット以上)や、頭板状筋を押さえることが推奨されます。
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認知症のレビー小体型認知症では歩行障害が改善した事例もあり、運動の重要性が示唆されています。
質の良い睡眠
睡眠不足や過眠は交感神経を優位にし、血圧を上げやすくするため、質の良い睡眠をとることが血圧コントロールに役立ちます。
睡眠不足解消のために、入浴は10~15分程度にすること、寝る前の体操、そして水分摂取が挙げられています。
発芽玄米に含まれるGABAも睡眠の質を高める作用があることが報告されています。
推奨される食事
認知症の改善には「何を取り入れるかより、何を減らすか」という考え方が重要です。
認知症に悪いものを除去することが、まず最初にやるべきことです。
避けるべき食品
超加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージなど):飽和脂肪酸や食品添加物、亜硝酸ナトリウムなどの細胞を酸化させる物質が多く含まれ、内臓、筋肉、血管、脳の機能低下を招き、認知症状の発症・悪化の大きな原因となります。
菓子パン:乳化剤、イーストフード、トランス脂肪酸が多く含まれ、特に乳化剤は腸の粘膜層を破壊し、腸内細菌を死滅させます。
これにより消化・吸収機能や免疫機能が低下し、体のだるさ、疲労、活性酸素の発生を引き起こし、認知機能の低下につながります。
冷凍食品(安価で大量生産されているもの):開封後に密閉しないと酸化が進み、特に揚げ物の冷凍食品は過酸化脂質を発生させ、血管や細胞を傷つけ、腸内細菌の乱れを引き起こします。
これにより、意欲低下や日常生活への支障につながることがあります26。
ジュース:ほとんどのジュースに含まれる「異性化糖」は体を「糖化」させ、血管、臓器、皮膚、筋肉、脳の機能に悪影響を及ぼし、認知症状の発症や悪化につながります。
コンビニやスーパーのカット野菜:加工過程で「次亜塩素酸ナトリウム」などの塩素系薬剤で洗浄されており、これが腸内細菌を死滅させ、腸内フローラのバランスを大きく崩します。
その結果、消化・吸収機能や免疫機能が低下し、認知機能に悪影響を及ぼします。
食用調合油を使った揚げ物、炒め物、ドレッシング:植物を薬剤で抽出した油であり、酸化が進んだ状態で使用されることが多く、血管の酸化、高血圧、血管の詰まりを引き起こし、認知症発症リスクを高めます。
特に脳の血管が詰まると脳血管性認知症になりやすくなります。
玄米:健康な人にとっては良い食材ですが、消化能力が低下し、腸内細菌が乱れている認知症高齢者にとっては負担が大きく、消化不良による下痢や便秘を繰り返すことで、さらに腸内環境が乱れ、集中力低下や意欲低下、不安症状などの前頭葉症状を引き起こす可能性があります。
食物繊維を多く摂る場合は、海藻類などの水溶性食物繊維をスープや出汁で摂るか、フルーツを適量摂ることが推奨されます。
アルコール飲料:肝臓、腎臓、小腸、大腸など多くの内臓に負担をかけ、活性酸素を蓄積させ、正常な細胞を傷つけます。
認知症高齢者の多くは内臓機能が低下しているため、アルコールはさらに負担をかけ、全身の機能低下や認知機能の低下を招きます。
ただし、赤ワインには抗酸化作用の強いポリフェノールであるレスベラトロールが含まれており、適量であれば推奨される場合があります。
調味液で漬け込んだ漬物風:保存料、ブドウ糖果糖液糖、甘味料、着色料などが含まれており、血糖値の急上昇と急降下を引き起こし、意欲低下、思考力低下、自律神経の乱れを通じて認知症状の悪化を加速させます。
伝統的な発酵漬物は推奨されます。
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食物繊維を多く含む野菜(摂りすぎ):玄米と同様に、認知症高齢者の消化能力が低下しているため、食物繊維が豊富な野菜を過剰に摂取すると消化が追いつかず、小腸の吸収機能が低下し、低栄養状態に陥る可能性があります。





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